はるはるの“ジュリー初心者”日記

ビギナージュリーファンの“はるはる”が、沢田研二様への愛とジュリー学習の過程を語ります。読書メモ「図書館のなかのジュリー」、ライブ感想、初心者の戯言の3本立てでひっそりと運営中。TwitterID @haruandwanko

写真集「沢田研二/水の皮膚」*図書館で借りた方法&ヌードのジュリーから見えたもの

 

 

図書館のなかのジュリー

ビギナーJULIEファンの“はるはる”が、沢田研二様に関する(図書館で借りた)書籍を、
ジュリーに著しく偏った観点で語る読書メモです
(一般的な書評とは異なることをご了承ください)

 

 

ジュリー度:★★★★★+++(5段階でメーター振り切れ)
写真集「沢田研二/水の皮膚」
パルコ出版,1980年,定価3000円

 

 美しい人が水の中に横たわる。沈みゆく淡い夕陽の光が、水に濡れる皮膚を朱色に染めながらその質感をくっきりと浮かび上がらせる。髪から水を滴らせ何かの審判を待つように、また何かの許しを乞うように天と地との間に視線を漂わせるこの美しい人の瞳には何が見えていたのだろうか。暗さを帯びた淡い光が照らす、水のさざめきとなまめかしい皮膚の質感。それはこの美しい人が生身のからだを持つひとりの男であることを教えてくれている。


 ……なーんてね。いきなり超気持ち悪いポエムで申し訳ありません!

 水の皮膚様を図書館で借り自宅にお迎えして早10日あまり。毎日眺めていたら、こんな不気味なポエムを書きたい欲求が湧いてきてしまいました。
 さて、図書館で借りたジュリーのヌード写真集「水の皮膚」の読書メモです。

 今回は特別編として、1)感想文、2)本の考察、3)図書館で借りる方法、4)まとめ、の4部構成でお送りします。最初に予告しますが、この記事はおそろしく長いです。「手っ取り早く借り方だけ知りたいわ」という方は、いちばん最後の「4.まとめ」へ飛んでください。

 それともうひとつ、この記事では水の皮膚の写真は掲載していません著作権保護のためです。写真目当てで来た方ごめんなさい)。写真なしでどこまで伝わるか心配ですが…。では始めます。

 

「写真集・水の皮膚」読書メモ(感想文)

 水の皮膚様を自宅にお迎えした日のツイートはこちら↓

 夢にまで見た水の皮膚様をやっと手にして興奮している私と、読後すぐの魂抜けた私のリアルなツイートです。


 ネット上で見たことがある写真も多かったですが、それでも自分で1枚1枚ページをめくり紙の感触を確かめながら、美しい人を観賞するのは格別の楽しさでした。この写真集はできれば書籍の状態で見て欲しい。それは沢田研二の美”がストーリー性を持って並んでいるのと、ツイートでも述べたとおり「突然出てくる等身大以上のドアップ」があるからなのです。

皮膚の質感が表現する“なまなましさ”

 わたしのようなジュリー初心者にとっては、衣装を着飾りきれいにお化粧をしているのがジュリーのイメージ。ただし美しすぎて少し人間離れというか、アンドロイドや人形ぽく感じることもあります(私は早川タケジさんのセンスが大好きだし、ジュリーを活かす天才だと思っていますが)。衣装やメイクは、その人の個性を引き立たせる半面、その人を覆って隠してしまうものでもあるわけです。そんな隠す要素を全部取っ払って、〝沢田研二が持つ生来の美しさ”をアートディレクター・石岡瑛子さんが表現して魅せたのが「水の皮膚」です。

 B4変型で見開きだとB3になる大型のこの写真集で特徴的だと感じたのが“特大アップの多用”です。顔のドアップ(わたしは「次はどんな写真かな」とドキドキわくわくしながら1枚1枚ページをめくっていたら、突然等身大以上のなまめかしく光る口唇がドーンと目に入り、一瞬息が詰まってクラッときました。破壊力ありすぎて心臓に悪い…)はもちろん、上半身、腕や手、果ては泡まみれのお尻のアップ(貫禄の2カット)まで。これだけアップにするとよーく見えるのが、冒頭の気持ち悪いポエムに書いた「皮膚の質感」なわけです。妖しく光る口唇の質感、粟立ったような皮膚のぶつぶつした質感、1本1本の体毛までが手に取るようにわかるから、すごくなまめかしくて、なまなましく、そして美しく感じるのですね。加えてノーメイクだとやや荒れた肌の質感や、顔の毛穴の黒ずみまで丸見えで、なまなましさに拍車がかかる。

 これらを見て、「ああ、この人もふつうの男なんだ」と強く感じました。そしてこの本はヌード写真集だけれど、そのヌードとは衣装やメイクを脱いだことで現れる“素顔”や“素肌”であり、そこから生身の男“人間・沢田研二”の美しさを表現した作品である、と思ったんですね。

 余談ですが、この写真集の随所に出てくるジュリーの口唇が、私にはなぜだか臓器や器官の一部のように見えてしまうんですよね(鏡の自分とキスしている、赤くめくれた口唇の写真は特に)。本来からだの奥に秘められているはずの臓器が、外部に露出しているように感じる(人間の臓器を見る機会が多い職業だからかもだけど)。私の目にはそれだけ、この写真集がなまなましく見えているのかもしれません…。

絶妙なトリミングで美を表現する

 それにしても初めて見たときに面食らったのが、特徴的な構図です。なぜここをドアップにするのか、ここを強調するのか?と考えてしまう写真が多く、特に毛穴というか皮膚の肌理(きめ)まではっきり見えるお尻のドアップには大変ときめいたものの(←変態か)、正直どう解釈したらいいのかはわかりませんでした。

 これは後から知ったのですが、大胆で特徴的なこの構図は石岡さんが、写真をトリミング(切り取り)して作っています。彼女がジュリーの美しさを感じるままに切り取り、拡大してドアップにしているわけです。皮膚の質感がわかるくらいのアップにすることで見えてくる本当の美しさを表現している。そして石岡さんは裸や肌、からだの曲線を使って美を表現するのが得意なアーティストで、特にジュリーのお尻に美を感じていたようです。

 これらのことを知ってからは、水の皮膚が少し違って見えるようになりました。写真はすべて沢田研二という人が生来持っているとびきりの美です。トリミングして拡大したものをじっくり見たことで、際立った美しさをまざまざと知ることができたと思うのです。

 顔の特大アップには、ジュリーの男くさい美を感じました。“女性のように美しい”と言われるジュリーだけれど、前述したように顔の肌は荒れていて毛穴も黒ずんでいる。そして眉は太く、顔のいたるところにうぶ毛がふっさふさしていて、鼻梁は細いけど鼻は大きくて、あごはがっちりしていて、きれいに開かれた大きな目は力強くて精悍。だからすごく男くさく見えたんですよね、あのジュリーが。

 普通のアップ写真ならそこまで思わなかったかもしれません。ドアップかつ絶妙な構図だからこそ、写真の訴えかけを感じられたのだと思うのです。

“素顔の沢田研二が持っている美しさ”の表現はジュリー本人の希望

 石岡さんの作品集「風姿花伝」にジュリーの寄稿文(本人が書いたとは思えない文体だけど…)が載っています。そこに「(水の皮膚では)素顔の沢田研二が持っている美しさを出したかった」と書いてあるのを読み、私の解釈はそう外れてなかったのだなとうれしく思いました。素顔や素肌を際立たせることで“人間・沢田研二”を表現したのだろうし、それがすごく美しく感じたわけですから。

 「風姿花伝」には水の皮膚のエピソードが多く掲載されているので、また機会を改めて読書メモにしたいと思います。※2020/07/10 こちら にアップしました

フェティシズムを解放した!

 あら? 変態ポエマーの駄文から始めたのに、なんだか真面目な話が続いてしまいました。退屈でしたね、すみません。ここからはゆるく行きます。

 さて、人間誰しもなんらかの偏愛…というかフェティシズムをお持ちかと思います。私はずばり「筋肉」です。ゴリゴリのマッチョも大好物ですが、ジュリーファンになってからは、若いジュリーのうっすーーーーい体から筋肉らしきものを見つけるという新たな楽しみを開拓しました。

 また、最近はジュリーの体の“あるもの”をやたらと探すようになっている自分に気づきました。なんだと思いますか? はい、変態ですみません、「体毛」です。ワキ見ると大興奮だし、薄いとばかり思っていた腕毛なんか見た日には凝視凝視凝視です。

 そんなわたしがドアップ万歳の水の皮膚を見たらどうなるか明白ですね。まずは顔ですよ。ほっぺのあたり、眉の周り、おでこのうぶ毛にやられた。そして指毛、手の甲の毛、腕毛、意外と多いすね毛! コントラストが効いたモノクロ写真では、乳輪に1本ぴろーんと生えた長い毛と、おへその下に数本パラパラとギャランドゥも見えた!! お尻のアップでも前方に1本見えてる!!! プールじゃない写真でヘアらしき影が見えてるのもあった(凝視して探した)!!!! はい、完全に変態ですね(←おまわりさん、この人です)。

 自分が持っているフェチに気付かせてくれたジュリーありがとう。そしてフェチを解放させてくれた水の皮膚様、ありがとうございました。今日も堪能するよ、ふふふふふ。

「水の皮膚」を考察してみよう


定価3000円ぽっきり、今なら7万円は普通

 さて、ここからは商品としての水の皮膚の考察です。

 B4変型の大型本。装丁が豪華で、上質で厚手の紙を使用しています。ジュリーの写真掲載は実に119ページでずしりと重い。初めて見た時は想像以上の豪華な装丁に驚きました(Paradis,Paradisみたいな作りを想定していたので)。

 出版は40年前の1980(昭和55)年2月、お値段3000円ぽっきりです。 これだけ豪華な装丁で、これだけすごい内容で3000円なんて…40年前の物価って今の半分くらいだったのかな?と思いましたよ。ところが消費者物価指数で換算すると1980年の3000円は2019年の4000円強、消費税入れても4400円なんですね。

 黄金期のジュリーのこれだけ豪華なヌード写真集が現代の物価なら4400円だとは俄かには信じられない。ベストセラーになりペイする自信があったからこその価格なのだとは思うけれど。当時3000円で手に入れた先輩ファンの皆様が本当にうらやましい限りです。

 では現在の古書取引の実態はどうでしょう? 主戦場はヤフオク、メルカリ、アマゾン、古書店、まん○だらけあたりでしょうか。ネットではカビが生えている状態の悪い物でも2万円台、初版で保存状態が良いものだと7万円台も見かけます。私も先日ヤフオクに参戦しましたが、競り負けて撃沈しました。最終的な落札価格は私の入札価格の2倍以上でした。これは無理だ…(´・_・`)

 需要と供給がアンバランスなこの状況だから取引価格が高騰するのもわかるけれど、それでは高額出さなければ永遠に見られないってことになってしまう。古書取引の高騰を沈静化させるには「見たことがない人を減らす」のがいちばんだと思います。図書館で見られれば、欲しいと思う人も減るんじゃないかなぁ? 実際に、現物を目にした私は今後古書取引に参戦することは多分もうないでしょう。そんな人が増えればいいなぁと思うのです。需要が減れば価格も下がる。この記事が価格高騰沈静化の一助になってほしいなあと切に願います。

だから図書館で借りる方法をご説明します

国会図書館で閲覧できるけど… (現在はできません!)

 さてここからは、私が図書館から水の皮膚を借りるまでの経緯と具体的な借り方を説明したいと思います。

 後追いファンのみなさんの水の皮膚鑑賞方法は、「持っている人に借りた」「中古を高値で買った」「ネットで写真を収集した」がほとんどでしょうが、意外と「図書館で見た」人も多いようです。

 東京近郊在住の方ならば、国会図書館で館内閲覧するのが手っ取り早く確実な手でしょう(2020年9月現在では、閲覧不可になっています。情報ありがとうございました)。ただし遠方の場合は(私も含め)国会図書館まではヤフオクで何冊も競り落とせるくらいの交通費がかかります。そのためなんとか自宅で見る方法はないか…と考えました。しかし「我が名はジュリー」も「Paradis, Paradis」も借りられる私の街の図書館には所蔵なし。それどころか複数のOPAC(オンライン蔵書目録)を使って探しても、水の皮膚を貸してくれる図書館はなし。仕方なくヤフオクに手を出すもあっさり撃沈。手詰まりになって「実物が見られないんだったら、ネットに出回っている画像を全部収集してやる!」とヤケクソでいろんなサイトを回っていたとき、某所でこんな一文を見つけたのです。

「私 は 図 書 館 で 借 り ま し た」

え? Σ(゚Д゚; な ん で す と ?!

 そこに書かれていたのは、私の街から海を越えてはるか1000km先にある自治体の図書館の名でした。記事を見て「あれ、これはもしかして…」と思い速攻で蔵書検索をし、真夜中に頭をフル回転させてある方法を検討した結果…

「これ、私も借りられるわよおおおお!」と確信し、興奮のあまり震える手で夜中にワインを開けて飲みまくり、翌朝一番で地元の図書館に電話して1000km離れた図書館から借りるこの方法が可能か問い合わせをしたわけです。すると、あっさりと

「はい、借りられます。ご自宅で読めますよ」

  • キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

 水の皮膚様が本当に私の家にやってくるー!(感涙)

図書館間相互貸借

 今回私が使ったのは「としょかんかん そうごたいしゃく」というシステムでした。公立図書館同士が所蔵資料を互いに貸し借りするシステムで、地元の図書館に目当ての資料がない場合、他の街(都道府県外でもOK)の図書館からの借り受けができます。実を言うと芸能人の写真集を1000kmも離れたところに貸してくれるのか?と少し心配したのですが、問題なく大丈夫でした。

 相互貸借の申し込み方法は図書館によって違うと思うので、まずは地元の図書館に問い合わせをしてみてください。私の街は近所の図書館で申し込みする必要があったので、電話を切ってすぐに図書館へ行き、申し込み用紙に1000km離れた図書館名と「沢田研二/写真集・水の皮膚」(若干恥ずかしい←笑)と記入。しかし相互貸借は「(送料の都合で)できるだけ近いところから借りる」という原則があるらしく、どこから借りるかは地元の図書館におまかせということになりました。つまり「水の皮膚」がどの図書館にあるか自分で調べる必要はありませんプロである図書館の司書さんにおまかせすればよいのです。最善の方法を考えてくれるはずですよ。

 なお私の街では、相互貸借の送料・費用は一切かかりませんでした(自治体によって違う可能性があります)。

「貸出可能図書」と「館内閲覧」の違いに注意

 地元の図書館に問い合わせの電話をしたとき「写真集は“館内閲覧のみ”の場合もあります。その場合はこちら(地元の図書館)に来ていただいて図書館内で閲覧ということになります」と教えてもらいました。実は今回館内閲覧形式で貸してくれる図書館もみつけましたが、私は自宅でじっくり鑑賞したかったので相互貸借の申し込み時に「貸出可能図書を探してください」とお願いしました。図書館内で閲覧でもOKと思う方はここは完全おまかせでよいと思います。

 このほか図書館には「参考図書」や「禁帯出」という、その図書館の外には持ち出せない資料もありますが、京都の某大学が参考図書として所蔵しています。大学生さんはなんらかの方法で鑑賞できるかもしれないので、自分の大学の司書さんに相談してみてくださいね。

水の皮膚様は「大変貴重な資料」。大切に、大切に読みましょう

 届くのに1カ月くらいかかるかなーと思っていたら(遠いからね)、申し込みから5日後の夕方に「サワダ…ケンジ?の水の皮膚が到着しました」と地元の図書館から連絡が来ました(若い女性の声だったので沢田研二を知らなかったらしい←笑)。

 その際に注意事項として言われたのが「貸出館から大変貴重な資料と言われていますので」に続いて、①かけてあるカバーは外さずに読んでください、②大型本なので大きいバッグを持参してください、③返却ポストではなく必ずカウンターに返してください、でした。どれも初めて言われたことばかりで、本当に貴重な資料なのだなとあらためて知ったわけです。

 翌日図書館に迎えに行くと、地元の図書館名入りの真新しい手作りカバー(規格外サイズのため新規作成したらしい)がかけられ、ビニール袋に包まれた水の皮膚様がいらっしゃいました(それを見た瞬間の私は、相当気持ち悪くニヤニヤしていた)。

 発行から40年です。何千という人がこの写真集を手に取り、ため息をつきながらページをめくったのでしょう。だからだと思うけど…………本がボロボロだったよ!

 外側の装丁は傷んでいるし、水濡れの痕もある。ページを開くと、随所に補修テープが貼ってありました。昔の補修だから仕方ないのでしょうが、白っぽいテープ(医療現場で使うサージカルテープみたいなの)が雑に貼ってあり、写真集が盛大に台無しに(悲)。一番残念なのが、水濡れが原因と思われるページの剥がれでした。結構なページにこの剥がれがあるのですよねぇ…これは心が痛むわ。本当にもったいないなあ。

 今私の手元にあるこの本をこれから借りるみなさん、本当に大事な資料ですので、大切に大切に読んでください。本の傷みをみて悲しくなるかもしれませんが、それは覚悟のうえで。

復刊があり得ない理由

 どうしても手に入らないならパルコ出版に復刊希望を出そう!なんて考えた時期が私にもありました。でも現物を見た今となっては復刊は絶対無理だとわかります。ヘアらしきものが写っているというぬるい理由なんかではではありません(成人男性のジュリーのヘアなんて今の時代何の問題にもならないし)。詳しくはあえて書きませんが…。

 お手元に水の皮膚を持っているみなさん、そして図書館で借りることになったみなさんにお願いします。絶版された本当に貴重な資料です。後世に残すためにも、大切に、大切に取り扱ってくださいね。

 

図書館で借りる方法まとめ

国会図書館で閲覧(2020年9月現在閲覧不可になっています)

・相互貸借→「貸出可能」か「館内閲覧」かも大事

・費用(送料)がかかる場合もあるらしい(私は無料でした)

・大学生は自分の大学の司書に相談

まずは地元の図書館に「“水の皮膚”が見たい!どうすればいい?」と相談してみましょう。案外自分の街にあるかもしれないし、別のもっといい方法を教えてもらえるかもしれませんよ。

※この記事では水の皮膚を所蔵している図書館名は伏せています。お問い合わせいただいても返答いたしかねますのでご了承ください。所蔵している図書館の情報は、地元の図書館でご照会いただくようお願いいたします。

 

 

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