はるはるの“ジュリー初心者”日記

ビギナージュリーファンの“はるはる”が、沢田研二様への愛とジュリー学習の過程を語ります。読書メモ「図書館のなかのジュリー」、ライブ感想、初心者の戯言の3本立てでひっそりと運営中。TwitterID @haruandwanko

久世光彦「ひと恋しくて」「あの人のこと」/ジュリーの妖しさと魔性と内田裕也と

図書館のなかのジュリー

ビギナーJULIEファンの“はるはる”が、沢田研二様に関する(図書館で借りた)書籍を、
ジュリーに著しく偏った観点で語る読書メモです
(一般的な書評とは異なることをご了承ください)

 

ジュリー度:★★(5段階)
久世光彦

・「ひと恋しくて 余白の多い住所録」中央公論社,1994年,定価1300円
・「『あの人』のこと」河出書房新社,2020年,本体1700円

 

f:id:haruandwanko:20201219205650j:plainf:id:haruandwanko:20201219195659j:plain

 

 

日食じゃなくて日蝕なのです

 ずいぶん前に読んではいたけれど読書メモを書く時間がなくて放置していた久世さんの本2冊です。もう返却してしまって記憶があやふやではありますが…。よろしければお付き合いください。

 どちらの本も久世さんが親しい人についてしたためた、短編のエッセイ集。ジュリー様はもちろん両方に掲載されております。

 まず、1994年の「ひと恋しくて」から。こちらはわずか3ページのボリュームだけれど、20代のジュリーがいかに美しかったか、<魔少年>であったかが切々と書かれています。これを読むと、久世さんは「悪魔のようなあいつ」の良ちゃんを、自分の頭の中のジュリーのイメージそのまんまで体現化したんだろうなぁと。だって、儚い、きれい、刃物のように危険、氷、酷薄、甘美、美しい…文章中に踊るこれらの言葉は、良ちゃんそのものだと思うんですよね。

 なおこの本には「二人きりでエレベーターに乗ると…」というあの有名な文章も掲載されていますので、機会があったらぜひ読んでみてください。

 そして今年2020年に出版された「『あの人』のこと」に掲載されているのは、1975(昭和50)年に書かれたショートエッセイ。タイトルは沢田研二という日蝕は起るだろうか」。久世さんが感じるジュリーの魔性やスターとしての宿命を日蝕になぞらえて綴っています。

 書かれた1975年は、そう、「悪魔のようなあいつ」が制作された年であります。私は初めてあのドラマを見たときから「店の名前はどうして、日“蝕”なんだろ?」と謎だったのですが(普通に書くなら日“食”だし)、このエッセイを読んで少しわかったような気がします。いや、答えは書かれていないのであくまでも憶測なんですがね。

 久世さんが考えるスーパースターとは、魔的に妖しくて人間的なものを超えた存在であり、それを宿命づけられた者であり、何かに蝕まれているもの。

 まあ、わたしはそんな妖しくて魔的なジュリーももちろん好きだけれど、人間くさい沢田研二さんの方がもっともっと好きなのではありますが。

 

内田夫妻の壮絶夫婦喧嘩が…

 この読書メモのタイトルは「図書館のなかのジュリー」でありますが、今回久世さんの2冊の本で本当に紹介したかったのは…そう、しぇけなべいべなー内田裕也さんでした!!

 「ひと恋しくて」の方では、久世さんの親友として登場します。こちらはまあまあ常識的(それでも普通の感覚で見ると十分破天荒だけれども)に描かれているのですが、抜群に面白いのが「『あの人』のこと」の方。ここにはジュリー初心者が知らないことがたくさん書かれていました。

 ジュリーが内田夫妻の結婚式の立会人をしたらしいというのは知っていたけれど、あの写真に肩だけ写っている謎の人物が久世さんだとは知らなかったし、新郎側・新婦側・総括立会人とか役割分担されていたのも知らなかった。いや、そもそもジュリーと久世さんが演者とプロデューサーという関係性以外でつながっているのも知らなかったし、久世さんと希林さんがそんな深い関係なのも知らなかった。だから、ムー一族の打ち上げパーティーでジュリーと裕也さんが激怒した理由がこれでやっとわかった(そこに行き着きました、すみません)。

 そして内田夫妻の壮絶な夫婦喧嘩の描写がすごすぎて面白い(面白がっちゃいけませんが)。ジュリーの名前もちょいちょい出てくるからそこも面白い。

 誰かのエッセイって1回でだいたいお腹いっぱいになって読み返すことはほぼないのですが、これは本当に面白くて長いのに3回くらい読み直しましたから、わたし。ぜひぜひ読んでみてください!!

 実は…この裕也さんの章の全文は出版社のサイトで無料で読めます!(太っ腹だね〜)。

 河出書房新社、十階のモスキート、で検索してみてくださいね。裕也さんがますます好きになりますよ。おっと、このブログは「図書館のなかのジュリー」です。お間違えなく(笑)。

 

この記事はコメント欄未設定です。連絡・コメントはTwitter↓からお願いします。