はるはるの“ジュリー初心者”日記

ビギナージュリーファンの“はるはる”が、沢田研二様への愛とジュリー学習の過程を語ります。読書メモ「図書館のなかのジュリー」、ライブ感想、初心者の戯言の3本立てでひっそりと運営中。TwitterID @haruandwanko

水上勉「土を喰う日々−わが精進十二ヵ月−」/「語り:沢田研二」の妄想ロードショー

図書館のなかのジュリー

ビギナーJULIEファンの“はるはる”が、沢田研二様に関する(図書館で借りた)書籍を、
ジュリーに著しく偏った観点で語る読書メモです
(一般的な書評とは異なることをご了承ください)

 

ジュリー度:★★★★★(5段階)
水上勉著「土を喰う日々−わが精進十二ヵ月−」
新潮文庫,1982年,本体価格490円

 

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 最初に断っておきますが、私は料理がまーったくできませんし、作れませんし、作りません(キッパリ)。まぁ、それでもなんとか生きて来られたので、自分バンザイと思っている能天気です。

 そんな干物女でも楽しく読めた随筆集「土を喰う日々−わが精進十二ヵ月−」。水上勉は幼少の頃にお寺に預けられ小僧をしていた経験があるため精進料理ができる人。しかし本作は料理を作るだけではなく自ら土を耕し畝を作り、土や作物と対話をしながら暮らす様が描かれています。確かに精進料理のレシピやうんちくも多いけれど、読み進めるうちに思ったのは、これは食事や生活を通していかに日々を丁寧に、いかに精進して生きるかを描いた人間としての記録なんだなぁということ(と、干物が偉そうに語ってすみません)。

 水上勉の作品は初めて読みましたが、とても面白かったです。文章力の高い人が描く随筆って、読者がその内容や場面をアリアリと想像することができるんですね。水上が土や野菜と対話しながら畝を作ったり、お芋をたわしで丁寧に洗ったり、栗の渋皮をもみもみしてはがしたり、野菜の皮をできるだけ薄く薄ーくむいたり、くるみをすりおろして豆腐を自作したり、お手製の山椒のすりこぎの先端が削れていくのを満足げに見つめていたり、竹ぼうきで葉っぱを集めていたり、厳寒の倉庫からとりだしたお芋をなでていたり…。

 いいですか、みなさん! 大事なことだからもう一度言います。文章力の高い人の作品はその場面をたやすく想像できるんです。

 つまり!! 私の頭の中では、本に書かれたこれらがぜんぶあの美しいお爺さんのお姿で想像できるわけですよ!

 おまけに随筆なもんで、水上が「ぼくは」「私は」と語る部分は、ぜんぶあの美しいお爺さんの声で想像できるんですよ!!!

 言うなれば一冊丸ごと私の頭の中では「語り:沢田研二」なわけで、一冊丸ごとジュリーが朗読してくれたようなもんなのですよ!!!

 高くて少しかすれた、おじいちゃん期のあのお声で、この本を朗読してくれるんですよ…(ああ恍惚…)。

 料理を作る場面でレシピをその人の声で重ねるってのはよくある手法なのかもしれないけれど(と言っても私はシロさんしか知りませんが)、私の脳内では爺ジュリーが料理を作る映像に爺ジュリーが読み上げるレシピの声が重なっているんですよ!!

「土を喰う十二ヵ月 主演:沢田研二、語り:沢田研二、妄想監督:はるはる(ジュリー初心者)」脳内絶賛上映中ってな具合ですよ!!

 いやいや、妄想や期待をパンパンに膨らませると、キネマのような「原作どこいった?( ゚д゚) ・・・」状態になるのも怖いので自重自重自重だ(と言いつつ、来年秋まで脳内ロードショーは続く)。

ジュリーがオファーされた理由を妄想する

 この本を読む前は、映画オファーの理由を「お料理できる美しいお爺ちゃんだからかな?」と単純に思っていました。

 読んで思ったのは、内容が上品なんですよね。工夫し精進し、丁寧に、手を抜かずという日々描かれている。そこは初心者が思うジュリーのイメージに合致します。水上はこの十二ヵ月を東京を離れ、人里離れた軽井沢の山荘で過ごしていますが、そんな隠遁めいた生活の描写も世間が思うジュリーのイメージ(昔は華々しいテレビの主役だったけど今は距離を置いている)に合致するのかなぁとなんとなく。

 あとは水上本人も美爺さんなんですね。料理するモノクロ写真がかっこいいんです。また、6月の梅の思い出で40年ぶりに女性と再会するシーンがあるんですが、それがサマになるおじいちゃん俳優もなかなかいないでしょうし(てな感じで妄想は延々と膨らみ続ける…)。

そして恒例 いつ撮ったんだ?問題

 初心者の頼りない記憶ですが、この映画の話題の頭出しがあったのは昨年の正月ライブだったかと。撮了は今年7月だったんですね。そしてキネマの撮影が昨年初夏から秋くらいまででしょうか。

 この間、われわれが目にすることができたジュリー様のお姿は、①昨年春のお買い物(サッカーユニ)、②昨年夏のお買い物(ウイスキーTシャツ)、③同じ頃の撮影中盗撮画像、④キネマの神様全編、⑤今年初夏のライブ、⑥「土を喰う」の宣材写真、ですかね。

 ① 〜④はふっくら(というか恰幅いい)。だけど⑤ではかなり細くなっていて、⑥も細く見える(全体像不明だけど)。さらに⑥は髭なし、髪も短めという具合。キネマまではふっくらしていたということは、昨年初夏のキネマの撮了後にダイエットしたんでしょうか?(キネマはなんとなく着膨れしてる感じでしたが)

 というのも、この本に出てくる食生活をしていたら絶対太らないはずなんです、写真の水上も細いし。

 だから役に合わせてダイエットしたのかな? それとも撮影で原作のような食生活をしているうちに自然に細くなっていったのか…。でも春はふっくらしてたから春のツトムはふっくらしてるのか? いやいや伸縮自在のジュリー様だから体型なんてノー問題なのか…。まあ、そこは謎なので、先輩ファンの皆様のライブレポを楽しみにしーようっと(人まかせ←笑)。  

ダイエット本にもなりそうです

 料理ができない干物女でもできそうで、かつすっごく美味しそうだったのが「ジャガイモと林檎のサラダ(のレタスバージョン)」。そして自分では絶対作れないけれど食べてみたいと思ったのは「ふきのとうの網焼き」(来年の春、どこかの居酒屋に頼もう…)。

 商売柄(と自分のダイエットで)コレステロールや脂質を目の敵にしているため、おいしくて健康に良さそうだなぁと思う料理がいっぱいでした。

 心にグサッと刺さったのは「お代わりはしない。うまいものは大事に喰ってほしい。それで少なめに盛り付けている」って記述。グサグサ来ました。他人に作っていただき、毎食何かの命をいただいている私のごはん。もっと大事に食べなきゃなぁ…。

 そしてもうひとつ「わかるわかるわかるわかるわかる~」と100回くらいうなずいたのが、春や土の讃頌でした。雪が解け凍土が緩み草木が芽吹くあの時、草木の生命の強さといじらしさを想うと涙がこぼれるという記述(がっつり意訳すみません)。これは冬を雪に閉ざされる雪国の人間にしかわからない感覚なのかなと。アスファルトに囲まれた街で暮らしていても、春になると温かな土の匂いがこみ上げてきて泣けてくるんですよね、私も。

 そのあたりの感覚を映画のツトムと共有したいと思います。ぐふふ。

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